SO-RUN MOVIE 

【流れよ我が涙、と探偵は言った】


早くもDVD化された『SO-RUN MOVIE 』(オムニバス・三編収録)の中の一つ。北村一輝・主演作である。
さて、お目当ての北村さんは探偵・551の役である。
タイムカードは必ず定刻に打刻すべし、昼食は正午ぴったりに食べること(551の弁当箱が可愛いことこの上ない)、被っている帽子の角度にまで何かしらのルールを定めていそうな、実直そうな男。それが551である。
残念なのは太くまっすぐな眉のライン、セルの無骨極まりない眼鏡のせいで、かの美貌が隠されてしまっていることだ。
但し、これには理由がある。
メイキングでその秘密を林監督が明かしてくれている。
「北村君の中にある 謙虚さ優しさが551で表現されている」
なんとも口元が緩みそうになる北村像を語ってくれている。ふむふむ・・と和む気持ちで話を聞いていた。しかし、次の言葉で私は口中の茶を「ぶふっ!」と噴いてしまった。
「・・・とにかく北村君は顔が濃いから・・・」
この物語を製作にするにあたって、一番悩んだのは「北村一輝の顔の濃さ」だと仰る監督。
そんなにですか。北村さんは。



未見の方を考えて、いわゆる「オチ」までは書かないが、ワタシ的見所を幾つか書かせて頂きたい。



『551 海に飛び込む』

*指先からザブリではない。足からである。その潔い飛込み方には「テヤッ!」と掛け声かけたくなるほどだ。ちなみに着水前に ぐいん! と体がバネのように弾ける(一瞬)。
優れた運動能力ゆえの反射か。はたまた、予定の着水地点からずれたんですか。



『チャンピオン・一輝』


*人魚役の女優さん(憂いと儚さを持つ、不思議な魅力の方だった)には申し訳ないが、「人魚の目を見るな 恋に堕ちてしまう」この台詞を聞いたとき
「はいぃ?」と首をかしげた。
何故ならば、551が人魚の目を見ると言う事は人魚もまた551の目を見てしまうことなのだ。
ならば、この勝負551@北村一輝の圧倒的勝利ではないか?
あの目で直視されて、恋に堕ちぬ者などいるのか?


『御姿・麗顔 拝見』


*すっかり役になりきった北村さん、何度画面を覗き込んでも、あの目から発射されるべき魅惑のビームがない。ぶあつい眼鏡に邪魔されてるんである。ご勿体ない、ご勿体ないんである。
しかも、何をどうしたのか、551が夜間走行してる際、ヘッドライトに照らされたその姿に「のっ!?」とのけぞるくらいの見過ちをしてしまった。
551が被るヘルメットはツルリとした曲線なのである。シルバー一色なんである。
それがヘッドライトに照らされると・・何故か「禿ヅラ」に見えて仕方ないんである。
何故だ!?そして、すまん。
どうしてワタシはあの美しい姿と「カト茶」を見間違えたりしたんだろう。
でも、ホントに焦った。(しかも、ちょっと似合うんだな/笑)



最後の最後に551は眼鏡を外してくれる。
独特の色彩で撮られたこの作品は幻想的だ。しかし、私はその時、幻に近いほどの美しさをようやく見ることが出来たのだ。
{ああ、その顔が見たかったのよ!」(せめて、眼鏡は霧島スタイルがよかった・・)